雨風が強い日。錦浜の様子を見に来てみた。ドドドと地響きを唸らせながら、大きな波が押し寄せて、砂浜の地形が変わってしまっているよ。
恐ろしい景色。この波にさらわれてしまえば、死あるのみだろう。こんな悪天候のビーチには、観光客など誰もいるはずないだろう。
そんな中、嵐の海を見渡している人を発見。長年このビーチで海の家を管理している羽生さんは、スキューバダイビングのインストラクターであり、店長でもあり。
どんな日でも毎日、海の様子を見に来ているらしい。自然は、人の都合に合わせてはくれないもの、海の家の管理は自然との戦いなんだな。
でも羽生さんは、この嵐を眺めながら、“台風は、自然にとって必要。”と言った。
そうか。“悪天候”という価値観は所詮、ぼくが生み出した不幸。考えてみれば、生き物たちは喜んでいるのだ。
そう思えたらこの波も、力強く砂浜を洗濯しているように見えて。
このまちの人たちのおおらかさの理由も、僕なりに少しわかった気がしたんだ。