フランスでアート活動をしているシャルル・ムンカさんは、“フロッタージュ”という技法で作品を作る。凹凸のある素材にキャンパスをかけ、浮き出した凹凸に画材をこすりつけ、形を写し取りながら描く。

今回、長崎県壱岐島をテーマに作品を完成させたいとのこと。現地にある廃材を組み合わせ、約一ヶ月間、島に滞在し製作する。そうして島の営みを表現するのだという。

早速廃材を探してまわる。狙い目は、海にまつわる素材。方方へ問い合わせ、探索していく。シャルルは目を輝かせ、「あれも使えそう。これもいい感じ」と、ゴミがまるで宝の山のように見えているらしい。

「こんな廃材には、歴史が刻まれているから、それを写し取りたい」のだそう。そうか。なるほど。

壱岐島ならではといえば漁業の営み。ということで漁協の協力で、立派な船の帆を手に入れることができた。しかしシャルルには、ちょっとキレイすぎるよう。もっとボロボロで汚れていたほうが、作品にはいいらしい。

珍しいものも手に入った。パラシュートのような形状をした布。漁船を潮の流れに固定するために使う“イカリ”(シーアンカー)だそう。泥水でドロドロになりながら運ぶ。

何日もかけた材料集め。どんな作品になるのか、楽しみ。

というわけで、出来上がった作品がこちら。

日仏交流160周年記念として在日フランス大使館が推進する芸術家招聘(しょうへい)事業の一環で、仏・リヨン出身のシャルル・ムンカさん(36)が、壱岐市に約1カ月滞在して制作した作品が完成、市に寄贈された。

掲載:西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/454836/