尊敬するTV番組制作会社の社長に連れて行っていただいた居酒屋で、それはもう極私的感情溢れ狂う運命的出会いが。

「魚初」の女将さんとお話するうち、ぼくの今亡き祖母との繋がりがわかり。今亡き祖母から、何十年も前に長崎から六本木の女将へ送られた「暑中見舞い」の実物と出会うことができたのです。

「大澤静枝」暑中見舞い
「大澤静枝」暑中見舞い

ぼくは、2~3才当時、祖母からその製作の工程を教えてもらっていました。40年ほど前の記憶―。

全て手書きの時代。壱岐高等家政学院の理事長であった祖母は、生徒へ配る資料をガリ版(謄写版)で印刷していました。ぼくはそのガリ版の仕組みに興味津々で、根掘り葉掘りそのやりかたを聞いていました。

暑中見舞いでは、そのガリ版を使って“はがき”に絵の線をつけます。のち水彩で彩色し、手書きで文字をしたためます。色やバランス、文字をわざと真っ直ぐ書かないようにすることやその理由など教わったのでした。

例えば「真っ直ぐ書いちゃだめ」というのは、のちに幼稚園で「真っ直ぐ書け」と教わるわけですから、このころことは僕にとって貴重な教えがたくさん詰まっていたように思えます。

つづく・・・。

六本木の魚料理おでん「魚初」